介護職は、介護サービス利用者と日々接する中で体調面や精神面に留意し、心身ともに健康な生活を送れるよう配慮しなければならない。利用者の体調をチェックするため、介護スタッフはバイタルチェックを行う。バイタルチェックとは、体温や血圧などのバイタルサインを測定し記録する行為で、毎日のデータを蓄積することにより、利用者の効率的な体調管理が可能になるのだ。
バイタルチェックは、同じ職場に勤める看護師と協力して行うことになる。介護職として利用者の体調について気になることがあれば、直ちに看護師に相談して情報共有することが大切だ。
精神面で利用者に不安定なところがあれば、介護職はカウンセラーや医師に報告し、対応を協議できる。精神面の不調は、介護生活への不満や認知症の兆候など様々な原因が考えられ、介護職だけでは対応しきれない。また、食事の介助をしていて利用者の食欲や好き嫌いで気付くことがある時に、管理栄養士に相談することもあるだろう。
このように、介護職は利用者に関する問題につき、他業種のスタッフと協力してお互いの不足部分を補い合いながら解決していく多職種協働を重視することが望ましい。
困ったことがあれば多職種の専門家に相談できる環境は、介護職を始めどの職種にとっても魅力的といえる。多職種協働が上手く機能すれば、介護職は安心して勤務に専念できる。もちろん、他業種の職員とは価値観や行動規範が異なり、意見が対立することもある。しかし、介護職が多職種協働を目指す中で、倫理観や仕事の目的を問い直すきっかけとなり、介護のプロとして成長できるだろう。